● エラスムスが退けた「異なる読み方」
エラスムスは、ローマ教皇の図書館員であったパウルス・ボンバシウス教授といつも手紙のやりとりをしていました。
彼は、エラスムスが求めたどんな写本の読み方でも、彼に送りました。(注1)
事実、1533年、エラスムスが手紙のやりとりをしていたジュアン・セプルベーダという名のカトリックの司祭は、ギリシャ語のTRよりバチカン写本のほうが優れていることの証拠として、バチカン写本から選び出した365の読み方をエラスムスに送りました。(注2)
しかし、エラスムスはそのバチカン写本の『読み方』を退けました。
なぜなら、当時のたくさんの証拠から、彼はギリシャ語のTRのデータが正しいものであると考えたからです。
このように、エラスムスは、『キング・ジェームズ版聖書』が登場するより百年近くも前にバチカン写本のことを知っていたのです!
《オリゲネス》
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■《オリゲネス自作の旧新約聖書》(三世紀)
■ヒエロニムス作成の「ラテン語ウルガタ聖書」
■「バチカン写本」
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(注1)Samuel Prideaux Tregelles,"An Account of the Printed Text of the Greek New Testament with Remarks on Its Revision-",p.22
(注2)M.R.Vincent,"A History of the Textual Criticism of the New Testament",p.53
F.H.A.Scrivener,"A Plain Introduction to the Criticism of the New Testament",Vol.1,p.109
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