聖書の歴史 A-1 聖書の歴史 目次 

《神が保持してこられた聖書》

フロイド・N・ジョーンズ博士

●神のことばに対するサタンの攻撃
 神は私たちに、聖書の目的は、私たちをキリストに導くこと、そして私たちの人生の道案内をすることであると教えています(ヨハネ5・39、40)。
 私たちは次に挙げる問いを注意深く考える必要があります。
1 神は聖書の原文に聖霊の息吹をお与えになった後、それが失われてしまうことをお許しになるであろうか?
2 神は聖書本文に聖書の息吹をお与えになったのなら、彼はそれを保持されないであろうか?
3 原文の偽物が出回っていることは考えられないだろうか?

 「いつも神のことばを嫌っていて、それを滅ぼそうとしており、神のことばが確かなものであることについて人間の知性と心を曇らせようとしてきた者」、そのような者は存在しないでしょうか?
 創世記3・1によると、聖書の腐敗サタンから始まりました。
 サタンこそ、最初に聖書を改ざんした者です。
 彼は園でエバに語りかけた時、神のことば付け加え、神のことばから削除し、神のことばを薄めることをし、そして最終的に、神が言われたことの代わりに彼自身の教理を差し出しました。
 私たちは、悪魔神のことばに対してこの攻撃を今もなお続けていることを理解する必要があります。

手書きの新約聖書原本/原文
  • 「原本/原文」=マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ、パウロ、ヤコブ、ペテロらが
    聖霊の霊感によりギリシャ語で手書きしたもの。
   
  
  


●テモテが学んだ「聖書」も霊感されていた
 「私は、聖書の最初の手書きの原本霊感されたことだけを信じ、その聖書本文保持されていくとは信じない」と主張する時、それは不信仰の言明となります。
 そのように主張することは、実際、「私は、この地球上に、あるいは少なくとも現在の私たちの手に、誤りなき神のことばが存在するとは信じません」と言うのと同じなのです。
 この言明を聖書から検討してみることにしましょう。

「あなたは、自分がだれから学んだかを知っており、幼い時から聖なる書物をわきまえていることも知っているはずです。それは、キリスト・イエスにある信仰を通して救いに至らせるために、あなたに知恵を与えることができるものです。
 聖書はどれも、神が息を吹き込まれたもので、教えのためにも、あやまちをあばくためにも、まっすぐに正すためにも、義による訓練のためにも有益です。それは、神の人が、どんな善いわざのためにも完全に整えられた、完全な者となるためです」
(第二テモテ3・14〜17)

 ここで神は、私たちに聖書をお与えになった目的を述べておられます。
 すなわち、「教えのため…あやまちをあばくため…まっすぐに正すため…義による訓練のため」です。

 ところで、「神は聖書をお与えになった聖書が失われてしまうことをお許しになった」と、私たちは本当に信じることができるでしょうか?
 もしそうであるなら、神はどうやって聖書を使ってこれらの目的を達成させることができるのでしょうか?

●「最初の原本」と「聖書」
 さて、私たちが知っている通り、現在の私たちの手元には聖書の最初の原本は一冊もありません。
 問題は、「神はご自分のことば(最初の聖書本文)を保持してこられたのか?」ということになります。
 上に挙げた第二テモテ3章の箇所には、聖書の「最初の原本」に関しては何も言及されていません。
 15節を見てください。パウロはテモテに、こう言っています。

「あなたは…幼い時から聖なる書物をわきまえている…それは、キリスト・イエスにある信仰を通して救いに至らせる…ことができるものです」

 明らかにパウロは、「最初の原文」の新約聖書のことを言っているわけではありません。
 この「テモテへの第二の手紙」は紀元65年ごろに書かれました。また、テモテがパウロとシラスに同行した紀元53年ごろには、彼は同行するに十分な年齢に達していました(使徒16・1〜4)。
 したがって、テモテが幼かった当時、新約聖書はどこにも存在していなかったはずです。また、この同じ箇所で、パウロは旧約聖書の「最初の原文」のことをさして言ったのでもありません。



手書きの新約聖書原本/原文
手書きの原本(新約:紀元50年〜95年頃)
  • 「原本/原文」=マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ、パウロ、ヤコブ、ペテロらが聖霊の霊感によりギリシャ語で手書きしたもの。
   
  
  
矢印
本文が書き写された数多くの写本
  • 「本文」=最初の聖書記者たちが書き記した原文通りのギリシャ語の語句・文字配列・「読み方」
  • 「写本」=各書物の原文を、多くのクリスチャンたちがパピルス紙などに書き写した巻物や断片など。
世界最古の写本…マグダレン写本(紀元 66年 TRと合致)
古ラテン語聖書(150年頃 TRと合致)
古シリア語聖書(150年頃 TRと合致)
ディアテッサロン(153年〜172年頃 TRと合致)
ワルドー派の聖書TRと合致)
教父たちによる引用
聖句集(400年頃〜 100%TRと合致)
  
 
  



●聖書の写本も霊感されている!
 では、写本は霊感されているのでしょうか?
 最初の原文に忠実な写本も霊感されていることを、聖書自体がはっきり教えているのです。注1
 第二テモテ3・16、17にある「聖書」という語は、ギリシャ語の「グラフェー」から訳されています。
 「グラフェー」はギリシャ語の新約聖書に五十一箇所あり、いずれの箇所でも「聖書」を意味します。
 事実、それは通常、旧約聖書の本文をさしています。
 新約聖書を熟読すると、主なるイエス様がナザレの会堂で「グラフェー」をお読みになり(ルカ4・21)、パウロもテサロニケの会堂で読んだことが明らかです。
 エチオピアの宦官も、エルサレムでの礼拝からの帰途、馬車に乗って「グラフェー」のある箇所を読んでいました(使徒8・32、33)。
 彼らが読んでいたこれらのものは、最初の手書きの原本ではありませんでした。
 それらは、コピー(写本)であり、コピーしたもののコピーでした!
 それなのに、神のことばはそれらを「グラフェー」(聖書)と呼んでいるのです。
 そして、これらの「グラフェー」(聖書)は、「どれも、神が息を吹き込まれたもの」(第二テモテ3・16)なのです。
 こうして聖書は、最初の原文を忠実にコピーしたもの(写本)自体も、「神が息を吹き込まれた」(霊感された)ものであることを証言しているのです。
 したがって、このすべてのことは、神によって与えられている一つの約束に帰結します。
 すなわち、神は、私たちにお与えになった聖書本文を保持しておられることです。
 テモテは幼い時に、旧約聖書であれ新約聖書であれ、その最初の原本を見たことは一度もなかったはずです。
 それなのに、神は16節で、テモテが幼い時に学んだもの(聖書)は、神の霊感によって与えられたのであり、それは今でも「教えのためにも、あやまちをあばくためにも、まっすぐに正すためにも、義による訓練のためにも有益です。それは、神の人が、どんな善いわざのためにも完全に整えられた、完全な者となるためです」と言っておられるのです。
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注1)Edward W.Goodrick,"Is My Bible the Inspired Word of God",pp.61-62


《出典 : Floyd Nolen Jones,"Which Version Is The Bible?"[2006年] 》  

さらに深い理解のために(英語)
フロイド・ノレン・ジョーンズ博士の著書
Which Version Is The Bible?[2010年版] p.1~,170~,181~[PDFファイル]
聖書の保持について
Bible Preservation
聖書の保持/写本について
W・マクレアン師
Rev. W. MacLean (1983)によるギリシャ語聖書本文の摂理的保持について
THE PROVIDENTIAL PRESERVATION OF THE GREEK TEXT OF THE NEW TESTAMENT


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歴史A 神が保持してこられた聖書
1 神が保持してこられた聖書
2 聖書に関して神ご自身が約束しておられること
3 聖書を保持された神の方法
4 ヘルベチカの合意・フィラデルフィア告白



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