聖書の歴史 B-5 聖書の歴史 目次 

TRと同じ読み方の古代の聖書

フロイド・N・ジョーンズ博士

 二世紀と三世紀初め以降、古ラテン語および古シリア語の新約聖書が、小アジア、アフリカ、パレスチナで広まっていきました。
 (しかし、その後、それらの聖書はヒエロニムス(382年〜405年)により、また、おそらく、ラブラ主教(411年〜435年)により、改ざんされました。
 彼らはオリゲネスの編纂した改ざん版聖書(245年ごろ)にならって(図参照)、新約聖書の本文を改ざんしたのです)

TR聖書の流れ》

手書きの原本(新約 : 紀元50年〜95年頃)
古代のギリシャ語写本(99%TRと合致)
マグダレン写本…世界最古の写本
 (紀元 66年 TRと合致)
古ラテン語聖書(150年頃 TRと合致)
古シリア語聖書(150年頃 TRと合致)
(ディアテッサロン[四福音書の調和]153年〜172年頃)
ワルドー派の聖書(TRと合致)
教父たちによる引用
聖句集(400年頃〜 100%TRと合致)

《99パーセント超の多数派写本》
    
  
   
  

ギリシャ語の写本(総計)
(総数 5262)



TR聖書の流れ》

■新約聖書の時代から存在した聖書改ざん者たち
マルキオン(異端グノーシス派)による聖書の改ざん140年頃
アキラ(降霊術者 80年〜135年頃)による旧約聖書改ざん
タティアヌスによる聖書の改ざん(2世紀)
無名の四人の改ざん者たち(175〜200年頃)
アフリカの書記者たちの改ざん(3世紀以前)
《オリゲネス》
オリゲネス


オリゲネス作成の旧約聖書:
 「ヘクサプラ」(245年)
 第一欄=ヘブル語聖書
 第五欄=オリゲネスによる改訂版「七十人訳聖書」
     外典を含む
 他の三欄=エビオン派(異端の人々によるギリシャ語訳
オリゲネス作成の「改ざんギリシャ語新約聖書」
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エウセビウスの50冊の「改ざん聖書」(331年)
バチカン写本・シナイ写本
                     
                     
■ヒエロニムス作成の
 「ラテン語ウルガタ聖書」(405年)

古シリア語聖書 ペシッタ版は、シリア教会全体の聖書として歴史的に有名なものです。それは伝統的本文TR(テクストゥス・レセプトゥス)と密接に合致しています。これは、バチカン写本とシナイ写本のいずれよりも100年も古いものです。
 ラテン語がローマ帝国の共通語であったため、多くのラテン語聖書が帝国内のさまざまな地方に存在していました。

テルトゥリアヌスは、完全版のラテン語聖書「イタラ」すなわち、紀元157年頃に作られた最初の「古ラテン語版聖書」)について言及し、紀元190年にアフリカ北部のいたるところで使われていたことを述べています。

TRと同じ読み方のディアテッサロン
アッシリアのタティアヌスは、「ディアテッサロン」(「四福音書の調和」と呼ばれるもの。153年〜172年頃)を作成しました。
 教父テオドレトス(390年〜458年)は、その二百枚以上の「ディアテッサロン」の写本を小アジアとシリアで見つけました。
 それらの写本は、紀元170年以前からそこに存在していたものでした。
 ルカ2・33とヨハネ9・35(キリストの神性と処女降誕を述べている箇所)で、タティアヌスの「ディアテッサロン」にある読み方は、TRにある読み方と同じです。
 ディアテッサロンは、
(1)四つの福音書(それ以上でも、それ以下でもなく)が存在し、教会で使われていたこと、
(2)TRの読み方を証言している古シリア語聖書(バチカン写本やシナイ写本より200年も古いもの)が存在することを、決定的に証明しているのです。

アルビ派の人々(ローマ教会によって異端者と烙印を押された人々)は、ヒエロニムスが彼のウルガタ聖書を完成させた後も、長い間、「古ラテン語聖書」を使いました。
 今日、私たちが持っているのは、これら古ラテン語聖書の五十の大文字写本だけです。注1
  これらの聖書は、オリゲネス派の人々が不正な変更(改ざん)を行っていない箇所では、シリア語版TRの読み方を証言しており、オリゲネス派の人々によって編纂された箇所では、オリゲネスのヘクサプラの読み方を証言しています。注2

 ヒッポのアウグスチヌス(354年〜430年)もテルトゥリアヌス(160年〜220年)も、アフリカの書記者たちがそれらの写本を絶えず編集し改ざんしていたことを証言しています。注3

● ヒエロニムス作成の「ラテン語ウルガタ聖書」
 紀元383年頃、ローマ教皇(法王)ダマススはヒエロニムスに、「古ラテン語」聖書全体の公式な改訂版を作るよう委託しました。
 ヒエロニムスは、オリゲネスヘクサプラを土台として翻訳し、オリゲネスのあのヘクサプラのすべての欄(全部で六つの欄)に記されているものを材料として用いて、「古ラテン語」旧約聖書を改ざんしました。
 彼は、「学者たち」が持っているもので、ふつうの人々が用いている聖書より「はるかに優れている」「ベラム皮紙の巻物」(すなわち、エウセビウス作成の聖書)のことを誇りました。注4
 イタリア北部の偉大な学者であり、ヒエロニムスと同時代の人であったヘルビディウスは、ヒエロニムスが教皇のために新しいラテン語聖書を作るに際し、腐敗したギリシャ語写本を用いていることでヒエロニムスを非難しました。注5
 もし、ヒエロニムスが純粋な原文通りの読み方の聖書を作ることが不可能であったなら、ヘルビディウスによるこの非難は無意味なものであったはずです!
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注1)Hills,"The King James Version Defended",p.119
注2)Peter S.Ruckman,"The Christian's Handbook of Manuscript Evidence",pp77-79
注3)"International Standard Bible Encyclopedia",Vol.4,p.970
注4)Ruckman著書 p.78
注5)"Post-Nicene Fathers",Vol.6,p.338



《出典 : Floyd Nolen Jones,"Which Version Is The Bible?"[2006年] 》  

さらに深い理解のために(英語)
フロイド・ノレン・ジョーンズ博士の著書
→ "Which Version Is The Bible?"(2010年版) p.164〜,170〜[PDF]
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