聖書の歴史 D-4 聖書の歴史 目次 

《オリゲネスによる聖書の改ざん

フロイド・N・ジョーンズ博士

 百科事典や参考図書を調べれば、神の偉大な人、信仰の人であったと言われているオリゲネスを見出すはずです。それらの書物では、教会は彼らに負うところがいかに多く、オリゲネスは聖書の本文を初めて科学的に注釈した人物である…と述べられているはずです。
 ところが、諸事実をもっと詳しく調べていくと、そうではないことがわかるのです。

オリゲネス
オリゲネス
  • 広範囲に旅をし、どこでもギリシャ語の新約聖書を見つけると、それを自分の教理にぴったり合うように改ざんした。
  • 新プラトン主義の創始者から教えを受けた。
  • イエスは一人の被造物にすぎないと信じた。
  • 前世からの生まれ変わり』を信じた。
  • 「洗礼による生まれ変わり」(人は水のバプテスマによって救われるという信念)を信じた。
  • 「人は罪のない者となるために、煉獄(れんごく)に行かなければならない」と信じた。


エビオン派(異端)の著作を自分の聖書に導入したオリゲネス

 オリゲネス・アダマンティウスは、「ヘクサプラ」と呼ばれる「旧約聖書」を編纂し作成しました(紀元245年)。それは、実際には、六つの欄がある並列聖書でした。
 最初の欄にあるのは、ヘブル語旧約聖書でした。
 ほかの三つの欄には、エビオン派(異端)の人々によるギリシャ語訳がありました。

オリゲネス聖書
《オリゲネス自作の旧新約聖書》
オリゲネス自作の旧約聖書:「ヘクサプラ」(245年)
 第一欄=ヘブル語聖書
 第五欄=オリゲネス自作の旧約聖書(ギリシャ語。外典付)
 他の三欄=エビオン派(異端)の人々によるギリシャ語訳
オリゲネス自作の新約聖書
オリゲネス自作旧新約聖書は、
 エウセビウスによる50冊の聖書、ヒエロニムスによるウルガタ聖書にも使われた。

 エビオン派は、イエス様の倫理的教えを信じていましたが、恵みについてのパウロの教え信じていませんでした
 実際、彼らはパウロを使徒と呼びましたが、彼の数々の手紙すべて完全に退けていました注1
 彼らは、イエス様が神性を持ったお方であることを信じていませんでした。
 また彼らは、ヨセフがイエス様の父であると教えました。
 この三つの欄に翻訳聖書を記したそのエビオン派のうちの幾人かは、その後、背教し、ユダヤ教に戻りました。

聖書改ざん者アキラ

 彼らのうちの一人、シノペのアキラ(紀元80年〜135年)は、占星術を捨てることを堅く拒んだことと、降霊術を行ったことで、クリスチャンの社会から除名されました。

新約聖書の時代から存在した聖書改ざん者たち
マルキオン(異端グノーシス派)による聖書の改ざん140年頃
アキラ降霊術者 80年〜135年頃)による旧約聖書の改ざん
タティアヌスによる聖書の改ざん(2世紀)
無名の四人の改ざん者たち(175〜200年頃)
アフリカの書記者たちの改ざん(3世紀以前)

 彼は、ローマ皇帝ハドリアヌスの統治時代(117年〜138年)に、ソロモンの神殿の跡地に、ジュピター(ローマの最高神)のための異教の神殿を建設する指揮を執り、かつて至聖所のあった場所にローマ皇帝のを据えました。注2
 アキラは旧約聖書をギリシャ語に翻訳した書物を新たに作り出し、その中で、メシア(キリスト)に関する多くの聖書の箇所を、それらが主なるイエス・キリストに当てはめるのが不可能であるように意図的に訳しました。注3
(教父イレナエウスはアキラを、聖書をゆがめる邪悪な者」として激しく攻撃しました。『異端反駁論』第三巻)
 アキラは、マタイ1・23の「パルセノス(処女)」というギリシャ語は、処女マリアのことではなく、最初の本文(原文)に崩れがあることを表している、と推測しました。
 アキラによれば、その正しい理解は、イエス様は、マリアと、「パンセラス」という名の金髪のローマ兵(ドイツ生まれ)との間の私生児である、というものでした。

 オリゲネスは、これらエビオン派の人々の著作「霊感されたもの」とみなし、こうしてそれらを彼の「聖書」なるものの中に入れたのです。
 オリゲネスのヘクサプラの五番目の欄(古典ギリシャ語で書かれました)は、紀元前の時代の旧約聖書のギリシャ語訳を、オリゲネスが改訂したものだとされています。
 今日、この五欄目は、本文批評家たちからは、「七十人訳聖書」注4)として言及されています。


自分の教理に合うように改ざんしたオリゲネスオリゲネス

 オリゲネスは、新約聖書に対しても関わりました。彼はおもに旧約聖書を翻訳しましたが、他方、彼は新約聖書を「編集」しました。
 オリゲネスは広範囲に旅をし、どこでもギリシャ語の新約聖書を見つけると、
それを自分の教理にぴったり合うように改ざん
しました。

 もちろん、彼は、自分はそれらの写本「修正」しているだけだと考えていました。
 しかし、神の人々が原文の読み方を変えることはないはずです。

 オリゲネスには、一人の裕福な後援者(アンブロシウス)がいました。アンブロシウスは、七百人以上の速記者と、大ぜいの写字生、および、字の達筆な若い女性たちを用意し、オリゲネスが聖書を組織的に改ざんするのを援助しました(エウセビウス『教会史』)。注5

 オリゲネスは、エジプトのアレクサンドリアにある学校の第三代の校長でした。その学校は紀元180年に、ギリシャ哲学者のパンタエヌスによって設立されました。
 202年、パンタエヌスの後を、アレクサンドリアのクレメントが引き継ぎ、彼は、ギリシャの哲学者プラトンの著作も、聖書が霊感されているのと同じ意味で「霊感されている」と教えました。
 彼らの著作からわかるのは、彼らは「宗教的」な人物ではあっても、救われていないギリシャ哲学者たちであったことです。

オリゲネスの信念

 次に述べるのは多くの資料注6)から収集されたものであり、オリゲネスの数々の信念を描写しているものです。それらを調べて、彼が実際に「教会初期の偉大な教父」であったかどうかを見ることにしましょう。
 このギリシャ哲学者は、新プラトン主義の創始者アンモニオス・サッカス(紀元170年〜243年)から教えを受けていました。
 新プラトン主義は、アリストテレス論理学東洋のカルトの教えとの奇妙な組み合わせです。
 それは、「この世界は、『非人格の一つのもの』から生じたものである」と考えています。たましいが何らかの恍惚状態あるいは忘我状態にいる間、その非人格のものと結び付くことができると考えています。
 その哲学の追従者であるオリゲネスは、その見解をキリスト教に融合させようとしました。
 …しかし、それらが混ざることはありません。

 オリゲネスは次のことを信じていました。
  1. 彼は、「たましいの眠り」を信じていました。(すなわち、その人のたましいは、復活の時まで、墓の中で「眠っている」こと) しかし聖書は、「体から離れる」ことは「主のもと」にいることであると教えています(第二コリント5・8)。
  2. 彼は、「洗礼による生まれ変わり」を信じていました。(人は水のバプテスマによって救われるという信念) もともとはサタンがその創始者ですが、この教えを強く提唱した人として私たちが見出すことのできる最初の人物が、オリゲネスなのです。
  3. 彼は、万人が救われることになる」と信じていました。すなわち、サタンおよび悪霊どもを含めて、すべてのものが最終的には和解されること、です。
  4. 彼は、「イエスは一人の被造物にすぎない」と信じていました。  こうして、オリゲネスは、最も根本的な教理(すなわち、主なるイエス・キリストのご人格についての教理)において、クリスチャンではありませんでした。
  5. 彼は、「人は罪のない者となるために、煉獄(れんごく)に行かなければならない」と信じていました。  この教理は、聖書のどこにも見出されません。
  6. 彼は、「聖餐式の時、パンとぶどう酒が実際にキリストの体と血に変わること(化体)」を信じていました。
  7. 彼は、前世からの生まれ変わり」および「カルマ」を信じていました。すなわち、人のたましいは、この現在の地上に存在するより前に、別の世界で先に存在しており、その前世からの祝福あるいは呪いを持ち込んだこと。
    (イエス様の復活が、この「前世からの生まれ変わり」のまちがいを正しています。イエス様が同じイエス様としてよみがえられたからです。ヘブル9・27は、「人間には一度死ぬことと、その後の裁きとが取り置かれてある」と言っています。このように聖書は、「前世からの生まれ変わり」が存在しないことを教えています)
  8. 彼は、「バプテスマを受けない幼児は地獄に行く」ことをほのめかしました。
  9. 彼は、「聖書に書かれているようなイエスへの試みが本当に起こったとは、知的な人なら信じることができないはずだ」と主張しました。
     オリゲネスは、イエス様の言われたことを正すことさえしました。
     マタイ13・38にある「種を蒔く人」のたとえの箇所で、イエス様は、「畑とは、この世です」と言っておられます。
     ところが、オリゲネスは、「畑とはイエスであった」と言いました。その後、彼は考えを変えて畑を「聖書のことだ」としました。
  10. 彼は、聖書は、文字通りに解釈するものではない」と信じていました。
    (オリゲネスは、「寓話的解釈の父」でした)
  11. 彼は、実際に「アダム」が存在したことも、「人間の堕落」も信じていませんでした
     また、「創世記一章〜三章は、文字通りに解釈すべきものではなく、歴史的な記述でもない」と信じていました。
  12. 彼は、「マタイ十九章は、『神の人は去勢を受けるべきであり、自分自身を去勢し続けていくべきである』と解釈するのが正しい」と信じていました。
  13. 彼は、「永遠の命は賜物ではない。むしろ、人はそれを奪ってつかみ、保っていなければならない」と教えました。(しかし、エペソ2・8は、「あなたがたは、その恵みによって、信仰を通して救われているからです。そして、これはあなたがたから出たものではありません。神の贈り物です」と言っています)
  14. 彼は、「人が『代々の完成』の教理を知的に理解しないうちは、キリストはどの人間の内にも入ることはない」と信じていました。(これは、ほとんどのキリスト教団体の約99パーセントを排除してしまうものです)
  15. 彼は、「あがなわれた者たちは『体の』復活を経験することはない」と信じていました。
……………………
注1)Eusebius,"Ecclesiastic History",Vol.1,Bk3,ch.27
注2)Wallace,"A Review of the New Versions",pp.22-23
注3)同書 pp.16,18
注4)Floyd Nolen Jones,"The Septuagint: A Criticla Analysis",p.19
注5)Eusebius,"Ecclesiastic History",,Bk6,ch.23
   Elgin S.Moyer,"Who Was Who in Church History",p.315
   John Reumann,"The Romance of Bible Scripts and Scholars",pp.98-103
注6)A.H.Newman,"A Manual of Church History",Vol.1,pp.284-287
   Herbert Musurillo,"The Fathers of the Primitive Church",pp.31,38,195,198,202-203
   "Encyclopedia Britannica",Vol.16,pp.900-902 ,etc


《出典 : Floyd Nolen Jones,"Which Version Is The Bible?"[2006年] 》  

さらに深い理解のために(英語)
フロイド・ノレン・ジョーンズ博士の著書
→ "Which Version Is The Bible?"(2010年版) p.92〜[PDF]




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