聖書の歴史CX-11 聖書の歴史 目次 |
古代および中世は『手書き写本の時代』でしたが、神は新約聖書の本文を無事に通過させてくださいました。 この本文を現代の印刷されたページへと変換させるべき時に至っても、神は、仕損じることはありませんでした。 それこそが、大多数のギリシャ語新約聖書写本の中に見出される伝統的新約聖書本文と、印刷されたTRとの関係を考察する際に、信じて聖書を学ぶ者を導いている確信です。 この二つの本文は実質的には同一です。 キルソップ・レイクおよび彼の同僚らは、伝統的本文(彼らはビザンティン型本文と呼びました)を徹底的に調査した中で、この事実を明らかにしました(1928年)。 彼らは照合した結果、次の結論に至りました。
この相違の少ない数は、この同じ章の中でシナイ写本やバチカン写本や大文字写本DがTRと相違するのがそれぞれ69ヶ所、71ヶ所、95ヶ所であることからすれば、ほとんど無視できるように見えます。 さらに、この同じ章の中で、バチカン写本はシナイ写本とは34ヶ所で、大文字写本Dとは102ヶ所で相違しており、また、シナイ写本は大文字写本とは100ヶ所で相違しています。 |
■TRに入れられたラテン語聖書の読み方 TRの中に、大多数のギリシャ語新約聖書写本の中に見出される伝統的本文と相違している少数の箇所が存在します。 それらの中で最も重要な相違は、エラスムスが、自らが育ったラテン語圏教会の用法によって影響を受け、時折、伝統的ギリシャ語本文よりむしろラテン語ウルガタ聖書にならったことによるものです。 エラスムスがそうしてTRの中に導入した数々の読み方は、必然的に間違ったものだったのでしょうか? 決してそのように推測すべきではありません。 なぜなら、手書き写本の長い期間に新約聖書本文を代々保持してこられた神の摂理が、ついにこの本文が印刷機にゆだねられることとなった時、大失敗をするとは考えられないからです。 したがって私たちは、信仰のアナロジー(類推)により、こう結論付けるのです。
エラスムスは、それらの読み方を、印刷された彼のギリシャ語新約聖書本文(TR)の中に含めるべく、『共通の信仰』によって摂理的に導かれた、と私たちは理解することができるのです。 TRにおいて神は、大多数のギリシャ語写本の伝統的新約聖書本文の中にまだ残っていたそれら少数の間違いを修正されたのです。 |
■TRの中にあるラテン語ウルガタ聖書の数々の読み方 次に挙げるのは、ラテン語ウルガタ聖書の比較的少数の読み方の内、きわめてよく知られた重要ないくつかの読み方です。 これらは、伝統的ギリシャ語本文にはないものですが、神の特別な摂理の導きによってTRの中に置かれたと思われるものであり、それゆえ保持されるべきものです。 読者は、これらラテン語ウルガタ聖書の読み方が、それ以外の古代の数々の証言(すなわち、古代ギリシャ語写本、古代版の聖書、および教父たちの証言)の中にも見出されるとわかるはずです。
…………………………………………… (注1)Harvard Theological Review (Harvard University Press ), vol. 21 (1928), p. 340. (注2)The Acts Of The Apostles, by J. A. Alexander, New York: Scribner, 1967, vol. 1, pp. 349-50. |
《出典 : The King James Version Defended 第八章 エドワード・F・ヒルズ著》
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●歴史CX 《神の摂理とTR》
1 聖書に対する二つの手法 2 現代主義の始まり…聖書の奇跡の否定 3 自然主義的本文批評を広めた人々 4 神の啓示が出発点です!! 5 『聖書を信じる学び』の3原則 6 一貫性のあるクリスチャンの『手法』 7 古代聖書と神の摂理 8 TRについての三つの見解 9 新約聖書本文の保持と『共通の信仰』 10 神に用いられたエラスムス 11 TRと伝統的本文の相違箇所 12 神の摂理を心に留めない批判者たち 13 神の摂理の継続・神が確証されたTR |
●さらに深い理解のために(英語)… ■The King James Version Defended 第八章 2f(エドワード・F・ヒルズ博士著) ■The history of naturalistic textual criticism(自然主義の聖書本文批評学の歴史) ■《さらに深く学ぶためのリンク集》 |
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聖書の歴史V 偽造写本から"ねつ造"された |
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