聖書の歴史CX-12 聖書の歴史 目次 

《神の摂理TR

12 神の摂理心に留めない批判者たち

エドワード・F・ヒルズ博士

エドワード・ヒルズ博士
エドワード・F・ヒルズ博士
TR人間的側面

 は、罪深くて誤りを犯しがちな人間を通して摂理的に働かれます。
 それゆえ、神の摂理的な導きには、その神的側面とともに、その人間的側面もあります。
 そして、そういう人間的な要素は、TRの最初の版(1516年)で明らかでした。
 一つには、その働きが非常に急いで行われたため、その本文は非常に多くの印刷上のエラーで損なわれたものとなりました。
 けれども、そういうミスプリントは、まもなく、エラスムスのその後の数々の版で彼自身によっても、また、他の編集者たちによっても、取り除かれました。
 したがって、そういうミスプリントは、TR永続的価値についてのいかなる評価においても考慮に入れる必要のある要素ではありません。

 TR『ヨハネの黙示』の中にある活版印刷上の少数の誤植は、重要な読み方に関わるものではありません。
 このことは、明らかに神の特別な摂理に帰されるものであり、H.C.ホスキアー氏(『ヨハネの黙示』に関する偉大な権威者)の『ヨハネの黙示』の記念碑的な注解書(1929年)からはっきりわかります。注1
 その注解書は、TRをその土台として採用しています。
 ここで私たちがわかるのは、注目に値する唯一の活版印刷上の誤植があるのは、黙示17・8だけであることです。
「かつていたが、今はいない(ただし、今はいます)その獣…」
 ここで、「kaiper estin(ただし、今はいます)」(ギリシャ語)という読み方は、エラスムスが『ヨハネの黙示』で用いた写本『1r』にある読み方: 「kai paresti」[意味は同じ]の印刷ミスであるように見えます。

修正されたTR
  • 黙示22・16〜21
     エラスムスの写本『1r』は最後の部分が切断されており、その結果、六つの節(ヨハネの黙示22・16〜21)が失われていました。
     ほとんどの学者たちによれば、エラスムスは、ラテン語ウルガタ聖書をギリシャ語に再翻訳することによって彼の写本にあるそれらの欠損を補おうと努めたとされています。
     しかし、ホスキアー氏は、写本『141』証拠に基づいて、そのことに異議を唱えたようです。注1
     エラスムスは彼の第四版TRで、この翻訳されたギリシャ語(もし、それが確かにそのようなものであったとすれば、ですが)の多くを修正しました。
     これは、コンプルテンシアン・ポリグロット聖書(ヒメネス枢機卿の指揮下でスペインのアカラで印刷され、1522年に発行された)との比較に基づいて行われました。
     ただし、彼はそのうちのいくつかを見落とし、そしてそれか今でもTRの中にありますが、それらの読み方は、その該当箇所の意味に実質的に影響を及ぼしてはいません。
     それらは軽微なしみにすぎず、欄外注の中で除去や修正が容易に可能なものです。

  • 黙示22・19
     唯一の例外は、黙示22・19の「」(「木」ではなく)です。
     エラスムスは、これを意図的にこの箇所で保持したにちがいありません。
     批判者たちはこのことで彼を非難しますが、この箇所で彼はラテン語ウルガタ聖書の読み方に従うべく、『共通の信仰』によって摂理的に導かれたのかもしれません。

  • 黙示22・14a
     『ヨハネの黙示』の中の一つの箇所で、批判者たちは、エラスムスがラテン語ウルガタ聖書の方向に移動しないことで彼を非難していますが、これは一貫性のないことです。
     それは、黙示22・14aの箇所です。
     「幸いなことよ、彼の命令を行っている者たちは。…」
     この箇所で、ホスキアー氏によると注1)、シナイ写本、アレクサンドリア写本、および少数のギリシャ語小文字写本の読み方は、「彼らの衣を洗う」となっていて、これは批判者たちに好まれる読み方です。
     それ以外の少数の写本およびエジプトのコプト語サイード方言聖書の読み方は、「彼らの衣を洗った」です。
     ラテン語ウルガタ聖書の読み方は、「子羊の血で彼らの衣を洗う」です。
     けれども、TRのエラスムスの読み方は、「彼の命令を行う」であり、大多数のギリシャ語写本にも、エジプトのコプト語ボハイラ方言聖書シリア語聖書にも見出されており、間違いなく、伝統的本文の読み方です。

神の摂理全く心に留めない批判者たち

 自然主義の本文批評家たちがTRの中の人間的不完全さを最大限に利用して、それを、『卑しくて汚いもの』として冷笑するのは、通例のことです。
 そういう批評家たちはTRを、出版社であるフローベンの側の金儲けの事業にすぎないものとして描いています。
 彼らの主張では、フローベンは、スペイン人のヒメネス枢機卿が彼のコンプルテンシアン・ポリグロット聖書の一部として、ある『印刷されたギリシャ語新約聖書本文』を発行しようとしていることを聞き、"市場でいくらか利益を得ようとして"エラスムスを編集者として雇い、一年もしないうちにギリシャ語新約聖書(TR)を急いで印刷して発行したのだ、としています
 けれども、TRの生産に関わる人間的要素にこのような仕方で心を集中させる人々は、神の摂理のことは全く心に留めていません
 というのも、ちょうどその翌年、神のご計画の中で、ウィッテンベルクで、あの宗教改革が勃発したからです。
 そして、「聖書を人々から離しておくことに専心していたローマ・カトリック教会により、あの異端審問の地であるスペインにおいて」ではなく、「聖書を人々の手中に置くことに熱心であった一人の書籍販売者により、将来のプロテスタンティズムの要塞の一つとなる場所で」、このギリシャ語新約聖書TR)が最初に出版されることが重要であったからです。
……………………………………………
注1)Concerning The Text Of The Apocalypse by H. C. Hoskier, London: Quaritch, 1929, vol. 1, pp. 474-77, vol. 2, pp. 454, 635.

《出典 : The King James Version Defended 第八章 エドワード・F・ヒルズ著》


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さらに深い理解のために(英語)
The King James Version Defended 第八章 2gエドワード・F・ヒルズ博士著
The history of naturalistic textual criticism(自然主義の聖書本文批評学の歴史)
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