聖書の歴史 P-10 聖書の歴史 目次 

ローマ・カトリックの公式聖書…ラテン語ウルガタ聖書

フロイド・N・ジョーンズ博士


オリゲネスの改ざん聖書から生まれたウルガタ聖書

 ベツレヘムの隠遁修道士であったヒエロニムスは、ローマ教皇ダマススから、ラテン語聖書を全面的に改定するよう依頼されました。
 384年ごろ、ヒエロニムスは福音書を完了させました。
 386年ごろ、彼はローマの教会の卜占官たちの下でエルサレムに来て、古ラテン語聖書を最新版にする作業を始めました。
 この作業のための基準として、ヒエロニムスは何を用いたでしょうか?
 ヒエロニムスは旧約聖書の土台を、おもにオリゲネス「ヘクサプラ」にあるヘブル語本文に置き、本文を「修正する」ために、ほかのいくつかの欄(彼の第五欄 オリゲネス自作旧約聖書[ギリシャ語。外典付]、およびエビオン派(異端)の人々によるギリシャ語訳)を用いました。
 彼は新約聖書を完成させるために、オリゲネスの新約聖書を大いに拠り所としました。
 その全作業が完了したのは405年でした。

5世紀〜の『聖書』
後にTRとして集大成される本文
   
  
  
改ざん聖書
ヒエロニムス作成の
「ラテン語ウルガタ聖書」(405年)
ラテン語ウルガタ聖書

 ヒエロニムスのラテン語ウルガタ聖書は、長年にわたりローマ教会から中傷されていました。
 ところが、1546年のトレント会議で、その公式「聖書」として受け入れられ、それは今日もなお使われているのです。

聖書改ざん者
オリゲネス

オリゲネス
改ざん聖書
オリゲネス聖書
聖書改ざん者オリゲネス改ざん聖書』(三世紀)
矢印矢印     
矢印エウセビウス-オリゲネス版』聖書
改ざん聖書
エウセビウス-オリゲネス版
エウセビウスの「50冊の聖書」(331年)
矢印矢印     
ヒエロニムス作成のラテン語ウルガタ聖書(405年)
ラテン語ウルガタ聖書
 [ラテン語ウルガタ聖書ローマ・カトリック公式「聖書」となる。1546年



● 学者ヘルビディウス非難したヒエロニムスの行い

 ヒエロニムスと同時代の学者であるヘルビディウス注1)は、
ヒエロニムスは、改ざんされたギリシャ語写本を使っている」と非難しました。

ヒエロニムスは、「学者たち」が持っているもので、ふつうの人々が用いている聖書より「はるかに優れている」『ベラム皮紙の巻物』(すなわち、エウセビウス作成の聖書)のことを誇りました。
ピーター・ラックマン博士  Peter S.Ruckman,
"The Christian's Handbook of Manuscript Evidence"p.78
 

 ヒエロニムスはオリゲネスの著作を使い、それから「ラテン語ウルガタ聖書」(405年)を作り出したのです。
…………………………
注1)"Post-Nicene Fathers",Vol.6,p.338

《出典 : Floyd Nolen Jones,"Which Version Is The Bible?"[2006年] 》  

さらに深い理解のために(英語)
フロイド・ノレン・ジョーンズ博士の著書
→ "Which Version Is The Bible?"(2010年版) p.105~[PDF]

ラテン語ウルガタ聖書について(C.P. Hallihan)
The Latin Vulgate(pdf)



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