UBS･NA本文聖書の愛好者たち_聖書のホームページ

それにもかかわらず、キリスト不信者たちのWH・UBS・NA本文を受け入れ、それに基づく聖書を好む人々がいます。
次に、そういう人々を大きく五つに分けて見ることにします。


《キリスト不信者たち作成の聖書本文》

【1】カトリック教徒とリベラル派の聖書

　それらの本文の編集者たちがカトリック教徒やリベラル派の人々である以上、同じカトリック教徒やリベラル派の人々は、それらの本文から翻訳された聖書を好むはずです。
　上記の編集者たちの立場や信念と同様の人々は、当然、非リベラル系のKJV（TR/マソラ本文）よりも、むしろNIVや外典付きのESVなどを好み、それらを「最もよく」読むはずです。

《リベラル派の信念》

イエス・キリストの神性を否定する。
あるいは、イエス・キリストを神（の御子）とは信じない。
したがって、三位一体も否定し、
イエス・キリストのあがないも否定する。

聖書の霊感を否定する。
あるいは、聖書を聖霊による真の神のことばとは信じない。

【2】リベラル系の聖書（UBS/NA本文）を好む福音派内の人々
　『福音派』と呼ばれる団体や教会に属している人々の中にも、WH/UBS/NA本文の聖書を「最もよく」読む人々がいます。
　注意しなければならないのは、『福音派』という名称の付いている教団や教会や人々がみな、聖書を神のことばと信じ、イエス・キリストを神の御子と信じているわけではないことです。
　『○○福音教団（教会）』という名称であっても、実質的にリベラル信仰の教団や教会も存在します。
　同じ教団や教会の中に、リベラル派の人々とそうではない人々が共存している場合もあります。
　すなわち、彼らはアメリカの『福音派』と呼ばれる団体や教会に属していながら、キリスト不信者たちの"学問的成果"を受け入れ、キリスト不信者たちが用意した本文によるNIVなどのリベラル系の聖書（UBS/NA本文）を好み、それを「最もよく」読む人々です。
　彼らは、上記のキリスト不信者の編集者たちの主張や信念を受容する人々、容認する人々、賛同する人々です。

【3】ユニテリアン派の聖書
　1881年に、WH本文に基づく英語聖書RVも登場しました。
　このRVを作り出した委員会の中には、主導者ウェストコットとホートのほかに、ユニテリアン派の学者G.V.スミスがいました。（そもそも、UBSという団体自体がユニテリアン主体の団体でした。→聖書協会TBSとUBS参照）

《ユニテリアン派の教え》

イエス・キリストの神性を否定する。
イエス・キリストを神（の御子）とは信じない。
したがって、三位一体も否定し、
イエス・キリストのあがないも否定する。

聖書の霊感を否定する。
聖書を聖霊による真の神のことばとは信じない。

　1881年、スミスは、英国外国ユニテリアン協会から自らの著書を発行しました。彼はその本の中で、自らが関わったこの改訂英語聖書RVが、KJ版聖書とは異なり、ユニテリアン派の教えを支持する内容へと変えられたことを述べています。

　スミスも、『英国外国ユニテリアン協会』も、WH本文に基づくこの英語聖書RVが、ユニテリアン派の教えを支持する"聖書"となっていると説明し、このRVをユニテリアンの人々に推奨しています。（改訂者のスミス自身が認めた『ユニテリアン向けの聖書』）

【4】モルモン教徒の聖書
　モルモン教の教職者が2009年にUBS版聖書本文の編集に加わりました。アメリカ・ユタ州にあるブリガムヤング大学（モルモン教[末日聖徒キリスト教会]の大学）のドナルド・Ｗ・パリー教授です。
　彼らの教えの一つは、「イエスは神とマリアの性的関係によって身ごもった」というものであり、創始者の創始者ジョセフ・スミスには３０～４０人の妻がいたと報じられています。
　モルモン教徒たちの読む聖書も、それまでのKJVからUBS版の聖書に現在は移行されつつあることでしょう。

（「モルモン教も加わった聖書」、「日本語聖書の『パートナーたち』」参照）

　このモルモン教の教職者の関わった編集内容は、日本語聖書の『聖書新改訳2017』『聖書協会共同訳』に反映されています。

　今やこれらの日本語聖書を読む人々は、「我々の聖書は、モルモン教徒たちの読む聖書とは違う」と言うことはできません。
　なぜなら、彼らの聖書と本質的に同じ本文の聖書を読んでいるからです。
　そう言うことができるのは、TR本文の聖書を読む人々だけです。
　むしろ、これらの日本語聖書の読者たちは、自分たちの読む聖書を編集してくれるモルモン教の教職者ドナルド・Ｗ・パリー教授に感謝すべきことになります！　

【5】エホバの証人の聖書

　エホバの証人は「イエス・キリストは天使ミカエルである」と主張する団体です。
　1985年にエホバの証人が発行した書籍に、こう書かれています。

「『新世界訳聖書』の土台として我々が用いたギリシャ語本文は、広く受け入れられているWH本文（ウェストコットとホートの本文）である。
　その理由は、それが優れていると認められるからである。
　ただし、我々はそれ以外の本文も考慮に入れた。その中には、エバハルト・ネストレ、スペイン人のイエズス会士の学者ヨセ・マリア・ボバーと、もう一人のイエズス会士の学者Ａ.メルクによって準備された本文も含まれる。
　1875年のUBS版本文と、1979年のネストレ-アーラント版本文も参照された」

（"The Forward, The Kingdom Interlinear Translation of the Greek Scriptures", 1985）

　こうして、エホバの証人の『新世界訳聖書』には、WH本文、UBS版本文、ネストレ-アーラント版本文が使われていることが明らかです。
　また、エホバの証人がローマ・カトリック教会との関わりが深いこともわかります。
　これらの本文を採用する理由は、「それが優れていると認められる」からであるとしています。
　つまり、エホバの証人は、キリスト不信者たちの"学問的成果"を優れていると称賛し、それらの本文を受け入れているのです。彼らの特異な教理を主張するために、それらの本文は何ら支障がないのです。