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● 『ベラム皮紙』製のシナイ写本の発見
シナイ写本がこのような名で呼ばれるのは、アラビアのシナイ山にある修道院で、ティッシェンドルフによって発見されたからです。この写本は四世紀のものと考えられています。 この写本は、その発見の出来事も含めて、スクリブナー博士の著書(1864年)で紹介されました。 著名なドイツ人の学者コンスタンティン・ティッシェンドルフは、古代の写本を不屈の思いで探求していました。 1844年、彼はシナイ山のある修道院を訪れていました。 その訪問のさなか、ある日、彼はゴミ箱の中から数枚の『ベラム皮紙』(上等の皮紙)を、たまたま見つけました。よく調べると、それは旧約聖書の『七十人訳』版の一部を含んでいて、かなり古いものであることを示す字体で書かれていることがわかりました。 ティッシェンドルフは有名なこの発見を、次のように描写しています。
修道僧たちは彼に55枚の皮紙を譲りました。ただし、それから15年後までは、それ以上のことは何も起こりませんでした。 15年後、彼はふたたびその修道院を訪れました。ただし、この時は、ロシア皇帝の後援の下での訪問でした。 その時、彼は大きな巻物を見せられました。 その巻物の、それほど重要ではない数々の手書きの原稿の中に、シナイ写本と呼ばれる写本が含まれていたのです。 当然のことながら、ティッシェンドルフ博士は自分の発見に大得意でした。実際、彼の熱狂ぶりは際限のないものでした。 彼はこう述べています。
そして彼は、この発見を、「イギリスの女王のコイヌール(英王室所蔵の108.8カラットのダイヤモンド)の発見にまさる偉大な」発見だとみなしました。 彼は、それが古代のもののように見えるからということで、それより後の時代の写本の読み方とは異なるどんな事例でも、このシナイ写本のほうが正しいにちがいないと考えたのです。
● 年数をかけて写本を検証した人々による評価 英国国教会の地方監督ジョン・W・バーゴン[1813年〜1888年])は、 五年半を費やして「福音書の大文字体の五つの写本を検証」しました。 そして、その偉大な働きを完了した時、彼は次のように宣言しました。
● 不注意な写字生による写本 1864年、F.H.A.スクリブナー博士は、『シナイ写本の完全な検証』という本を発行しました。 (スクリブナー博士は、非常に学識のある神の人であり、新約聖書の写本および聖書本文の歴史に関し、当時、最も有能で卓越した本文批評学者でした) その著書の中で、スクリブナー博士はこう述べています。
明らかに、このシナイ写本には、これがくずれていて(改ざんされて)、欠陥のあるものであるという、議論の余地が全くない証拠が存在するのです。 さらに、この写本が、まれに見るほど不注意な、あるいは(および)、不適格な写字生の作品であったとの結論に至らせる内的証拠もあるのです。 ● 欠陥に満ちた文字配列 この写本では、その文章の行の配列が特異なのです。 どのページにも四つの欄があり、どの行にも約12文字があり、すべて大文字ばかりが並んでいるのです。 ある一つの行の終わりで一つのことばを区切ろうとは全くしていないのです。 というのも、二つの文字だけから成ることば(enやekなど)でも、その真ん中で分断されており、その最後の文字は次の行の初めに繰り越されて(字送りされて)いるのです。 前の行にその最後の文字のための十分な余地があるのに、そうなっているのです。 このことや、ほかの数々の特異な点から、私たちはその写字生の性格や能力を考えさせられるのです。 そればかりではなく、スクリブナー博士はこう述べています。
スクリブナー博士は、「数行が完全に抜けてしまっている」数々の事例を引用しています。 また、「書記者が、ある行の途中で、その下の行の途中の箇所へと飛んでしまった」数々の事例も引用しています。 以上から明らかなのは,書き写すという仕事が、不注意な写字生によって行われたことです。 注意深い写字生なら、今述べたようなミスをこれほど頻繁にはしなかったはずです。 さらに、バーゴンはバチカン写本およびシナイ写本について、次のように述べています。
バチカン写本とシナイ写本は、現存する写本全体のうちの99パーセントの写本と異なっているだけでなく、写本同士の間でも異なっています。 この二つの写本と、それ以外の多数派の写本には、多くの相違点があります。 福音書だけでも、バチカン写本は新約聖書本文TRと、次のようなちがいがあります。 ■ バチカン写本は、少なくとも2877語を削除しています。 ■ それは935語を置き換えています。 ■ 2098語を転置しています。 ■ そして、それは1132語を修正しています。 こうして合計7578語の改ざんがなされています。 けれども、シナイ写本は、それ以上にひどいものです。 なぜなら、この写本の改ざんの合計が、9000近くにもなるからです。 ● 最もひどく損傷している本文! この四世紀の二つの写本(彼は、六世紀のものとされているベザ写本もこの二つに加えて述べています)について、バーゴンは、おごそかに、はっきりとこう述べています。
初期の数世紀の間に、欠陥のある数々の写本が存在しており、その改ざんの多くが意図的になされてきたことは、よく知られています。 また、その少数の写本(バチカン写本やシナイ写本)が、なぜ現代にまで残っているかを説明するのは、難しいことではありません。 実際、それらの写本が長く存在し続けてきたのは、それらの数多くの欠陥のため、使用には適さないと知られていたからであると信じるに十分な理由が存在するのです。 ● 重要な二つのこと (1)TRとは異なる新約聖書本文と合致する写本は、すべての写本の中の1パーセントにも満たないことです。 つまり、TRは、数々の古代版聖書や「教父」たちの証言以外にも、現存するギリシャ語本文のうちの99パーセント以上と合致しているのです。
(→ 《 99%以上の写本と合致しているTR 》参照)
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《出典 : フィリップ・マウロ,WHICH VERSION? Authorized or Revised?[1924年] 》
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■さらに深い理解のために(英語)… フロイド・ノレン・ジョーンズ博士の著書 → "Which Version Is The Bible?"(2010年版) p.149~,155~,161~[PDF] フィリップ・マウロの著書 → 「WHICH VERSION? Authorized or Revised?」(1924) シナイ写本の検証について(David L. Brown博士・牧師) → Codex Sinaiticus: It Is Old But Is It The Best? シナイ写本について(ステファン・P・ウェストコット博士:Reformation国際神学セミナリー) → Codex Sinaiticus [pdf] ジョン・バーゴン/シナイ写本とバチカン写本について → Codex Sinaiticus/Codex Vaticanus |
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●歴史Q 偽造された写本
1 偽造写本の"出現" 2 白いシナイ写本・ 3 だれがシナイ写本を 4 色付けされたシナイ写本 5 シナイ写本の意図的な削除 6 偽造写本『2427』の正体 7 ティッシェンドルフが持ち去った 『シモニデス写本』 8 ティッシェンドルフに抜き取られた シモニデス氏の写本 9 シナイ写本・バチカン写本_ |
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