(ウィルバー・N・ピッカリング博士は新約聖書の本文批評学者であり、"The Identity of the New Testament Text"等の著者)
キング・ジェームズ版聖書の新約聖書、ウイリアム・ティンダルの聖書、ルターのドイツ語聖書、オリベト会のフランス語聖書、ジュネーブ聖書(英語)は、プロテスタント宗教改革の多くの自国語版の聖書とともに、1550年のステファヌス文のギリシャ語本から翻訳されました。
この本文は(1624年のエルセビルの本文とともに)、ギリシャ語の聖書本文Textus Receptus(テクストゥス・レセプトゥス)、すなわち、受け入れられた本文[Received Text,TR]と呼ばれています。
これこそが、伝統的本文[Traditional Text,TT]であり、ギリシャ正教により何世紀にもわたって読まれ、保持されてきた本文です。
この本文から生まれたのが、ペシッタ(シリア語訳)聖書、イタリック聖書、ケルト教会聖書、ゴール人(フランス)聖書、ゴシック聖書、中世の福音的なワルドー派およびアルビ派の聖書、そして中世にローマによる抑圧を受けた数々の聖書です。無情にも、多くのコピーが探し出されて滅ぼされてきましたが、この伝統的本文は、全能者によって保持されてきたのです。
|