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● 東方教会のTR聖書と、西方教会のウルガタ聖書 教会が東方(ギリシャ語)と西方(ラテン語)に分かれると、東方教会ではギリシャ語の本文(後にTRとなる本文)が標準になりました。 (その結果、ギリシャ正教会の公式本文として採用されていました) しかし、西方教会ではヒエロニムスの「ラテン語ウルガタ聖書」を固持しました。
その結果、東方教会と西方教会の間で進展していった憎悪は、単なる教理上の議論を越えたものとなっていきました。 いずれの側も、相手の側が用いている写本は腐敗している(改ざんされている)と確信するようになりました。 つまり、それらの読み方が必ずしも同じではなかったため、東方のギリシャ圏の人々はその『ラテン語ウルガタ聖書』に不信感を抱くようになり、西方のラテン圏の人々も同じく、ギリシャ圏の人々が彼らの本文を改ざんしたのだと確信するようになりました。 どちらの聖書も、それぞれの社会では権威あるものであり続け、両者は、自分たちの聖書こそ真の最初からの聖なる本文であると主張しました。 こうして二つの別個の『聖なる書」が出現したのです。 ● 東西教会間の反目 この憎悪は五世紀まで続き、いっそう高まっていきました。 五世紀になると、ローマ教皇は、ギリシャ語およびギリシャ語の文書が西方ヨーロッパに流入するのを制限しました。(注1) 千年近くの間(紀元約476年〜1453年)、東方の過去のすべての宝物(その記録、歴史、考古学、文学、科学など)は、西方には翻訳されないまま、そして利用されないままでした。 ギリシャ語はヨーロッパ西部では外国語となりました。なぜなら、聖職者たちがギリシャ語の研究は悪魔の研究だと宣言し、それを促進した人々をみな迫害したからです。(注2) 概して、西方はもっぱらラテン語となり、東方とは疎遠になりました。 西方にベールを掛け、あの暗黒時代(476年〜1453年)に突入させることに大いに貢献したのは、そのように過去の業績にいつまでも反対し続けたことでした。 この暗黒の支配が続いたのは、1453年の半世紀前まででした。それは、ギリシャ語圏の人々が、トルコから洪水のように押し寄せる侵入者たちから逃れ、彼らの言語と文学と文化を携えて西方に来た時でした。(注3) この分離と分裂と孤立の時期、この二つの社会(東方と西方)のそれぞれの地域で、聖書は教会人(修道士、司祭、主教)たちにより、教会独自の所有物として解釈され、コピーされ、配布されました。 そして、どちらの側も、自分たちこそ『聖なる本文』に取り組んでいると確信していたのです。 ● 西方教会の『ラテン語ウルガタ聖書』を退けたエラスムスたち
エラスムスは、それを、東方教会の「ギリシャ語新約聖書正典」および「本文」(=ギリシャ語のTR)と入れ替えたのです。 エラスムスも、ロレンツォ・バラ(約1406年〜1457年。任職されたイタリア人司祭であり、おそらく、ルネサンス期で最も聡明な知性の持ち主でした)も、中世ローマ・カトリック教会が「聖なる本文」としていた「ラテン語ウルガタ聖書」を退けました。(注5) …………………… (注1)Wilkinson著書 pp.44-45 (注2)Froude,"Life and Letters of Erasmus" ,pp.74,187,294,256 (注3)Wilkinson著書 p.44 (注4)Letis,"Brevard Childs and the Protestant Dogmaticians",p.4 (注5)同書 p.7 |
《出典 : Floyd Nolen Jones,"Which Version Is The Bible?"[2006年] 》
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■さらに深い理解のために(英語)… フロイド・ノレン・ジョーンズ博士の著書 → "Which Version Is The Bible?"(2010年版) p.170~,199~[PDFファイル] |
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●歴史B 新約聖書の写本 1 使徒ヨハネから、弟子ポリュカルポスへ 2 99%以上の写本と合致しているTR 3 世界最古の新約聖書写本 4 TRと同じ読み方の古代の聖書 5 ワルドー派の聖書 6 ローマ帝国東西分裂後の聖書 |
●歴史C 新約聖書本文TRの確立 1 エラスムスについて 2 新約聖書本文TRを回復させたエラスムス 3 エラスムスが退けた「異なる読み方」 4 フレデリック・ノラン博士 5 ルターの聖書翻訳 6 ウィリアム・ティンダル 7 キング・ジェームズ版聖書の歴史 (1) 8 キング・ジェームズ版聖書の歴史 (2) 9 ギリシャ語TRの数々の版 |
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