|
|
|
|
|
|
|
|
HOME > |
百科事典や参考図書を調べれば、神の偉大な人、信仰の人であったと言われているオリゲネスを見出すはずです。それらの書物では、教会は彼らに負うところがいかに多く、オリゲネスは聖書の本文を初めて科学的に注釈した人物である…と述べられているはずです。 ところが、諸事実をもっと詳しく調べていくと、そうではないことがわかるのです。
●エビオン派(異端)の著作を自分の聖書に導入したオリゲネス オリゲネス・アダマンティウスは、「ヘクサプラ」と呼ばれる「旧約聖書」を編纂し作成しました(紀元245年)。それは、実際には、六つの欄がある並列聖書でした。 最初の欄にあるのは、ヘブル語旧約聖書でした。 ほかの三つの欄には、エビオン派(異端)の人々によるギリシャ語訳がありました。
エビオン派は、イエス様の倫理的教えを信じていましたが、恵みについてのパウロの教えを信じていませんでした。 実際、彼らはパウロを使徒と呼びましたが、彼の数々の手紙をすべて完全に退けていました。(注1) 彼らは、イエス様が神性を持ったお方であることを信じていませんでした。 また彼らは、ヨセフがイエス様の父であると教えました。 この三つの欄に翻訳聖書を記したそのエビオン派のうちの幾人かは、その後、背教し、ユダヤ教に戻りました。 ●聖書改ざん者アキラ 彼らのうちの一人、シノペのアキラ(紀元80年〜135年)は、占星術を捨てることを堅く拒んだことと、降霊術を行ったことで、クリスチャンの社会から除名されました。
彼は、ローマ皇帝ハドリアヌスの統治時代(117年〜138年)に、ソロモンの神殿の跡地に、ジュピター(ローマの最高神)のための異教の神殿を建設する指揮を執り、かつて至聖所のあった場所にローマ皇帝の像を据えました。(注2) アキラは旧約聖書をギリシャ語に翻訳した書物を新たに作り出し、その中で、メシア(キリスト)に関する多くの聖書の箇所を、それらが主なるイエス・キリストに当てはめるのが不可能であるように意図的に訳しました。(注3) (教父イレナエウスはアキラを、「聖書をゆがめる邪悪な者」として激しく攻撃しました。『異端反駁論』第三巻) アキラは、マタイ1・23の「パルセノス(処女)」というギリシャ語は、処女マリアのことではなく、最初の本文(原文)に崩れがあることを表している、と推測しました。 アキラによれば、その正しい理解は、イエス様は、マリアと、「パンセラス」という名の金髪のローマ兵(ドイツ生まれ)との間の私生児である、というものでした。 オリゲネスは、これらエビオン派の人々の著作を「霊感されたもの」とみなし、こうしてそれらを彼の「聖書」なるものの中に入れたのです。 オリゲネスのヘクサプラの五番目の欄(古典ギリシャ語で書かれました)は、紀元前の時代の旧約聖書のギリシャ語訳を、オリゲネスが改訂したものだとされています。 今日、この五欄目は、本文批評家たちからは、「七十人訳聖書」(注4)として言及されています。 ●自分の教理に合うように改ざんしたオリゲネス オリゲネスは、新約聖書に対しても関わりました。彼はおもに旧約聖書を翻訳しましたが、他方、彼は新約聖書を「編集」しました。 オリゲネスは広範囲に旅をし、どこでもギリシャ語の新約聖書を見つけると、 それを自分の教理にぴったり合うように改ざんしました。 もちろん、彼は、自分はそれらの写本を「修正」しているだけだと考えていました。 しかし、神の人々が原文の読み方を変えることはないはずです。 オリゲネスには、一人の裕福な後援者(アンブロシウス)がいました。アンブロシウスは、七百人以上の速記者と、大ぜいの写字生、および、字の達筆な若い女性たちを用意し、オリゲネスが聖書を組織的に改ざんするのを援助しました(エウセビウス『教会史』)。(注5) オリゲネスは、エジプトのアレクサンドリアにある学校の第三代の校長でした。その学校は紀元180年に、ギリシャ哲学者のパンタエヌスによって設立されました。 202年、パンタエヌスの後を、アレクサンドリアのクレメントが引き継ぎ、彼は、ギリシャの哲学者プラトンの著作も、聖書が霊感されているのと同じ意味で「霊感されている」と教えました。 彼らの著作からわかるのは、彼らは「宗教的」な人物ではあっても、救われていないギリシャ哲学者たちであったことです。 ●オリゲネスの信念 次に述べるのは多くの資料(注6)から収集されたものであり、オリゲネスの数々の信念を描写しているものです。それらを調べて、彼が実際に「教会初期の偉大な教父」であったかどうかを見ることにしましょう。 このギリシャ哲学者は、新プラトン主義の創始者アンモニオス・サッカス(紀元170年〜243年)から教えを受けていました。 新プラトン主義は、アリストテレス論理学と東洋のカルトの教えとの奇妙な組み合わせです。 それは、「この世界は、『非人格の一つのもの』から生じたものである」と考えています。たましいが何らかの恍惚状態あるいは忘我状態にいる間、その非人格のものと結び付くことができると考えています。 その哲学の追従者であるオリゲネスは、その見解をキリスト教に融合させようとしました。 …しかし、それらが混ざることはありません。 オリゲネスは次のことを信じていました。
(注1)Eusebius,"Ecclesiastic History",Vol.1,Bk3,ch.27 (注2)Wallace,"A Review of the New Versions",pp.22-23 (注3)同書 pp.16,18 (注4)Floyd Nolen Jones,"The Septuagint: A Criticla Analysis",p.19参照。 「ヘクサプラは、第一欄に『ヘブル語本文』、第二欄に、『ギリシャ文字で表されたヘブル語本文』、第三欄に、『アキラ版旧約聖書』、第四欄に『シマカス版旧約聖書』、第五欄に『七十人訳聖書』、第六欄に『テオドシウス版旧約聖書』がありました」("The Septuagint Version of The Old Testament",Zondervan Edition 1970 序文) (注5)Eusebius,"Ecclesiastic History",,Bk6,ch.23 Elgin S.Moyer,"Who Was Who in Church History",p.315 John Reumann,"The Romance of Bible Scripts and Scholars",pp.98-103 (注6)A.H.Newman,"A Manual of Church History",Vol.1,pp.284-287 Herbert Musurillo,"The Fathers of the Primitive Church",pp.31,38,195,198,202-203 "Encyclopedia Britannica",Vol.16,pp.900-902 ,etc |
《出典 : Floyd Nolen Jones,"Which Version Is The Bible?"[2006年] 》
|
■さらに深い理解のために(英語)… フロイド・ノレン・ジョーンズ博士の著書 → "Which Version Is The Bible?"(2010年版) p.92〜[PDF] |
→次へ P-5 |
●歴史P 聖書の改ざんの起源 1 新約聖書が前もって警告していたこと 2 第一世紀から始まっていた聖書の改ざん 3 異端がはびこっていたエジプト 4 オリゲネスによる聖書の改ざん 5 オリゲネスの『ヘクサプラ』とは? 6 ローマ皇帝が選んだ『エウセビウス-オリゲネス版』聖書 7 エウセビウスが作った50冊の聖書 8 異端アリウス派のエウセビウス 9 50冊の聖書とコンスタンティヌス帝 10 ローマ・カトリックの公式聖書…ラテン語ウルガタ聖書 |
|
ページの上へ↑ |
聖書の歴史V 偽造写本から"ねつ造"された |
→次へ P-5 |
利用規約 Copyright C. エターナル・ライフ・ミニストリーズ |